雪月の蝶(はやて×ブレード二次創作)

今回は「はやて×ブレード」の二次創作をやってみました( `・ω・´)
二次創作とは言え、仕掛けは色々施したので読んで頂けたら嬉しい限りです。

↓ここから

雪月の蝶     雨泉洋悠

 私の人生の内に、生涯忘れることのない出逢いというものは、何度あるのだろう。
何度あるのかは、まだ解らないけど、何度あったとしても、その一つ一つは何気なく、当たり前のように過ぎていく、夢や幻のようなものなのかも知れない。

「先輩!私、先輩のこと…」
 画面ではいつもと変わらない、気色の悪い女が気色の悪いセリフを吐いている。
いつも通り、何の変哲もない夜を迎えている。
ふと、時計に目を向けてみると、針はこちらを向いて揃っている。まだ門限には時間はありそうだ。
私は、いつものこの部屋の住人である、友人の事を思い浮かべる。
同時に、その友人と対になる彼女の事が思い出される。どちらかと言えば、こっちがメインだ。
明日は二人にとって、とても重要な日だ。
私は今、友人に代わって主の居ないベッドを占拠する、私の相方に声をかける。
「クロ、ちょっと表歩かないか。せっかくだし」
 昼間チビ達の所のクリスマス会に出掛けて行ったクロは、夕方頃に戻ってきて、今は順のベッドに寝っ転がっている。
クロは私の言葉に反応して飛び起きる。
「おお!綾那からクリスマスデートの、お・誘・い?」
 妙に体をくねらせて、言葉を返してくるクロは、はっきり言って気持ち悪い。
「ああ、地獄まで一緒に付き合ってもらう」
 ベッドから飛び降りて、気持ち悪い反応を返してきたクロに対して、しこたまアーム・ロックを懸けてやる事にする。
「い、痛い、綾那…ギブ、ギブ…」
 掠れていく声で、やっとの思いと言わんばかりに、クロは言葉と覚束ない両手で、降参の意思を伝えてくる。全く、最初から妙なことを言わなければ良いものを。私は、クロを開放してやる。
「こんな聖なる日にまで何とも荒々しい仕打ち…聖なる野生、ホーリーワイルド綾那」
 私に散々苦しめられた首元をさすりながら、またもや意味不明の言葉を放つクロ、いつも通りだ。
「意味解からん。デートではないけど、せっかくだから出掛けようとは誘っているけどな」
 いつも通りに、私は呆れ気味にもう一度誘いの言葉をかける。ここまでいつもと変わらない、毎度毎度同じ行動、ある意味様式美とも言える。
だけど、返って来たクロの言葉はいつもとちょっと違って私の意図を正確に汲んでいた。
「解ってるって、しぐまとじゅんじゅんの事でしょ?明日だもんねえ、二人のために何となく何かしたいけど、何も出来ない、手持ち無沙汰な気分だよね」
 このたまに見せる鋭さ・繊細さが、クロの隠れた良いところかも知れない。クロ本人は気付かないままの方が良いかなと思うので、いつも通りに敢えては言わないでおく。
「うん、せめて部屋でいつもの不愉快なゲームをやり続けて、明日を迎えるのは避けたい。自分の事だけであれば、例年通りそれでも良いのだけどね」
 私の顔には知らず知らずに少しの笑みが浮かぶ。聖なる日は私の心も、クロの心も多少は厳かな気持ちにさせる力があるらしい。
「オッケー、行こうよ綾那。外をぶらぶらしていれば少しはしぐまとじゅんじゅんのために出来ること、思いつくかも知れないし」
 そう言って、早速出掛ける準備を整えると、先陣切って部屋を出て行こうとする。私も準備を整えて、それに続く。
「綾那、ゲームは良いの?」
 クロは、振り返ってゲーム畫面が映ったままのTVを指さす。
「ああ、あのままでいい。しばらくセーブ出来ないからTVのスイッチだけ切っておく」
 画面には先程のまま、恥ずかしそうにこちらを向いている気持ち悪い女の顔。彼女の一世一代の告白はひとまずお預けだ。
私はTVのスイッチを切り、電気も消してから、クロに続いて部屋の外に出た。
廊下には私達以外人の姿はなく、少し薄暗い。暖房の効いた部屋の中と違って、少しばかりひんやりとしていた。

「月が綺麗だよ綾那~」
 そう言われて見上げてみると、流れる雲間に黄金色の光が見て取れた。
「満月っぽいけど今日はちょっと雲が多いな」
 天気予報的に言えば、どちらかと言えば今夜の天気は晴れではなく、くもりだ。
それでも、クロの言うように今夜の満月は、雲の切れ間に姿を見せたり、雲を従えたかのような様子を見せたりして、一際大きな存在感を私達に魅せ付けている。
「気温的には寒すぎるぐらいで雪が振りそうだよね~」
 寒すぎると言いながらもクロの声はいつもと変わらず元気だ。
私達は、目的地も思いつかず、とは言え手持ち無沙汰のまま帰る気にもなれずに街の中をぶらぶらしていた。
周囲の家並みには灯りはなく、街灯の灯りだけが私達の頼りだ。周囲の家達は、静かに寝静まり無言の闇で私達を見つめ続けている。
何故か人気も殆ど無く、この世界に月と雲だけを与えられて、クロと二人、この世界を別世界として取り残されてしまったような気分になる。
「静かだねえ綾那。まるで誰も居ないみたい。今日はクリスマス・イブだって言うのに」
 それなりに高級そうな住宅が並んでいるのに、そう言えばイルミネーションの類も見当たらない。
街並み自体、見慣れない姿で、何だか見知らぬ街に迷い込んだような感覚。
「そうだな、今日みたいな日の夜はもっと浮かれた感じがするのかと思っていたけど何だかちっとも浮かれた雰囲気が見られないな」
 街灯を一つ一つ越えて進んでいく、正直この先がどこに辿り着くのか、私にも解らない。多分クロにも解らないだろう。
それでも、不思議と引き返そうとお互い言い出すこともなく、街灯の奥の深い闇の向こうに、更に向こうに二人歩を進めている。
「…を浪費する訳ですよ。昔の人がそう言ってました」
「昔の人って誰?」
 ふと気がつくと、少し先の路地の右奥から僅かな人の気配と共にそんな会話が聞こえてくる。声の調子から、私と同い年ぐらいの女の子であることは解った。
「お、初めて人の気配が」
 クロが何気なく呟く、確かに今夜二人で部屋を出てから初めて感じる人の気配だ。
路地を右に曲がると、丁度二人の女の子が、街灯に照らされて、私達の左側の建物の門をくぐり抜けていくところだった。
「何か左奥の方に明かりが見えるね、これも今日初めてだ」
 クロが二人が入っていった建物の方を見て呟く。私も同じ方向に視線を巡らせてみると、確かに何か明るい雰囲気だ。
門の前まで来てみると、貼り紙がしてあった。
『本日、聖堂開放中。ご自由にお祈り下さい』
 街頭に照らされた貼り紙は、不思議な魅力で持って、私達の心に訴えかける。
「綾那、これも何かの縁だよ。あの子達もお祈りに行ったみたいだし、私達も今日はここを目的地ということにしようよ。しぐまとじゅんじゅんのために」
 私はクリスチャンではないし、クロも違ったと思うけど、確かに今日ぐらいは、西洋の神様に祈るのも、あながち間違いではない気がする。
「そうだな、お邪魔させてもらおうか」
 私もクロも、何かの奇妙な引力に導かれるように、その門を抜けて、敷地内に一つだけ明るく見える建物の方に近づいていった。
 天頂に輝いている月は、相変わらず雲をその従者として従えて、物静かに佇んでいた。

 乾いた軋んだ音を立てて、木製の扉を開け、その空間に入ると、先ほどの二人の女の子がまだお祈りしている最中だった。
クロと二人、入口近くで暫く待つことにする。聖堂内には一応暖房がかかっているみたいで、外よりも少し暖かい。
正面真ん中、奥に祈りの対象を掲げる場所に立つ二人の女の子。さっきまでは暗いのと遠いので気配しか感じなかったが、この明るい聖堂内で見ると、二人とも特徴的な髪型をしている。
片方の子は頭の両脇にお下げを作り、もう片方の子は更に特徴的なクルクルと円錐形になった髪を両脇に下げている。
そして、二人とも同じ紅色のリボンをそれぞれ結び、出で立ちもまた同じ紅色のダッフルコートを着ていた。
それぞれのフードが何とも愛らしさを感じる。二人はまるで姉妹のように見える。
お互い同じ色、同じ雰囲気を纏って、お互いの絆を身に付けることで、お互いの繋がりを再確認し、自らの心を相手に見えるように示しておく。
何とも親密な関係性を感じさせる二人の後ろ姿だった。
振り返ってクロと自分の格好を見てみる。あの子達みたいな統一感はないけど、それぞれいつも通りに、お互いの釣り合いが取れた格好をしていると思う。
私達の方は、到底姉妹には見えないだろうけど、刃友と言う関係としては多分問題なく適切だと思う。
二人がお祈りを終えたのか、最前列の左側の席の方にずれる。
私達の気配を向こうも感じ取っていたのだろう。私達の方を向いて、少し微笑んで自分達の先ほどまで居た場所に促す様子を見せてくれた。
「綾那、行こう」
「ああ」
 クロの促す言葉にも乗せられて、私は二人に少しばかりの会釈を返して、中央奥の祈りの先へと向かった。
丁度先ほどの二人の場所に着いた当たりで、後方の木製のドアの軋む音と二人の女の子の声が聞こえた。
「あ、誰かいる」
「ええっ?か、勝手に入って良かったのかしら…」
「大丈夫でしょ、みんなお祈りしてるみたいだし」
 後方の二人の様子は解らないけど、先ほどの二人は左側でも何かにお祈りをしている様子なのが見えた。
私は作法は良く解らないので、単純に手を合わせてお祈りをすることにした。クロも同じようにするようだ。
眼を閉じようとした時、私の眼の前にある神様に捧げられた花と草の中に、同じ形で寄り添い合う二枚のハート型の葉があるのが眼に入った。
「綾那、綾那。この葉っぱ、しぐまとじゅんじゅんみたいだね」
 ああ、そうか。この二枚の葉こそが、あの二人、夕歩と順だ。
寄り添い合い、互いを支え合う二枚の葉、明日二人で、最大の試練を乗り越える。
お互いが、お互いのために、力を尽くす。

 寄り添いて、互いに支う双葉の葵。ただ静かに、試練の日を待ち、密やかに眠る。

 それは誰の言葉だったか、昔読んだ本にあったのか、何かで見たものか、遊んだゲームで聞いて、憶えていたのかも知れない。
この葉は双葉葵と言う葉なのだ。
「そうだな、あの二人が二人でいる限り、この双葉葵のようにいる限りは、明日も二人はきっと大丈夫だ」
「この葉っぱ、双葉葵って言うのか~。うん、何かこの葉っぱ見てたらやっぱり大丈夫だって安心できた気がする」
「そうだな」
 あの二人はやっぱり大丈夫だ。私とクロの想いも、やっぱり間違いなくちゃんと届く。

 お祈りを終えて、私達は右側にずれる。左側には先程の二人が戻ってきて腰掛けていた。
よく見ると、顔立ちはそんなに似ていない。
もしかしたら姉妹ではなかったのかも知れない。
後ろを振り返って、先ほど入ってきた二人を促す。
長い髪に、特徴的な赤いリボンを付けた女の子と、その子よりも更に長い髪を、ポニーテールにしている女の子だ。
赤いリボンの子が、ポニーテールの子の手を引っ張るようにして歩いてくる。
ポニーテールの子は若干不安そうに見えるけど、赤いリボンの子はお構いなしに楽しそうに手を引いて歩いてくる。
「ほらほら、行くよ綾乃~」
「ちょ、ちょっと待ちなさいよ歳納京子」
 何だか、初々しい恋人同士のカップルを見ているみたいで、微笑ましいものの見ているこっちが恥ずかしくなるような二人だ。
「あやのだって、綾那と同じ字かな~?何か女の子同士だけど恋人同士みたいに見える二人だねえ~」
 クロも同じように感じたみたいだ。
二人の邪魔にならないように、クロと二人右側の席で腰掛けた。

 二人はお祈りを終えると、私達の後ろに腰掛けた。二人も私達と同じようなお祈りの仕方だった。
「歳納京子、さっきの同じ葉っぱが二枚付いているのの名前解る?」
「解んない、ハート型で何か可愛かったよね~」
 後ろの二人の声が聞こえる。教えてあげようかなと思ったけれど、
「あの葉っぱはね、双葉葵って言うんだよ」
 クロが後ろを向いて、私が動くよりも先に話しかけていた。やっぱりそれが私達の通常の流れだ。
「おお、双葉葵!教えてくれてありがとう!綾乃~双葉葵だって」
「隣にいるんだから聞いてたわよ。ありがとうございます、ご親切に」
「いやいや、どういたしまして~」
「だから、貴女に言ったんじゃないってば!歳納京子!」
「あやのちゃんととしのうきょうこちゃんは何年生?見た感じ同い年ぐらいな気がするので声かけてみたのもあるんだけど~」
 二人でお互いの名前を連呼しているものだから私もクロも、二人の名前の読みだけは直ぐに解った。きょうこちゃんの方は多分名字も。
「双葉葵が話題になってますね、お姉さま」
「そうだね、何かあっちは楽しそうだね」
 お姉さま、って事はやっぱり姉妹か。でも姉の事お姉さまって呼ぶとは、どこの良家のお嬢様なのか。
「すいません、騒がしくしちゃって」
 後ろの三人の会話は妨げないように、姉妹の二人に話しかけてみることにする。今日は双葉葵の魔力が働いているのかも知れない。
「いえいえ、お二人は良くお祈りにはいらっしゃるんですか?」
 特徴的な髪の子が話しかけてきてくれた。
「いやいや、普段はそういうのとは全く縁のない殺伐とした生活をしています」
「へえ、どんな生活なんですか?」
 今度はお姉さまの方が話しかけてきてくれる。
 しばらく、私とクロそれぞれ三人と三人で簡単な自己紹介したり雑談に華が咲いた。
 ステンドグラスから差し込む月明かりは、変わらずに優しい微笑を、私達と双葉葵に向けてくれている。
私は双葉葵を見つめながら、夕歩と順の明日の手術事を話し、その為に何かしたくてここに辿り着いたと言う事も話した。
二人はその話を聞いてすかさずもう一度お祈りしなおしてくれた。素敵な姉妹だ。
 クロも同じ話をしたらしく、きょうこちゃんとあやのちゃんもお祈りし直してくれていた。優しい子達だ。

「綾那~京子ちゃんと綾乃ちゃんは富山から遊びに来てるんだって、びっくりだね!」
「へえ、祐巳さんと瞳子さんは都内のカトリック系の女子校に通っているんだってさ」
「剣で闘うのが目的の学校って珍しいですよね」
「クロちゃんと綾那さんはペアで闘ってるんだね~面白そう」
「富山からだと何で来たの?電車?」
「深夜バスです。私は基本的には付き添いというかお手伝いですけど」
 いつの間にか、六人で雑談の輪が出来ていた。双葉の葵が導いた雑談の輪。

 六人で少しの間話し込んだ後、クロが突然立ち上がって窓の外を指さした。
「みんな見てみて、いつの間にか雪降ってるよ~」
「おお~雪!何かテンション上がる~!」
 そのまま、クロと京子ちゃんが飛び出していく。
「ちょっと待ちなさいよ歳納京子!もう、雪なんて地元でも見慣れているでしょうに…」
「しょうがないなあ、クロのやつ」
 そう言って綾乃ちゃんと二人で追いかける。
祐巳さんと瞳子さんは微笑みながら私達の後を付いて来る。さすがはお嬢様学校の高校生だ落ち着いている。
 軋む扉を開けて外に出ると、辺り一面が薄っすらと白色に覆われ、白い粒子が僅かな光を反射して輝いていた。
「こうやって丸めて、耳をつけて、丁度南天の実もあるね~出来た!雪うさぎ!」
「おお~お見事!私も作る~」
 二人の手元を覗き込むと、クロの手には雪で出来た小さなうさぎが乗せられていた。
「おお、上手いもんだなクロ」
「いやあ、たんぽぽ園でみんなと良く作ってたからね~」
「出来た~」
「あ、可愛い。雪うさぎ…」
 綾乃ちゃんの反応を見るに、京子ちゃんも出来たらしい。クロのよりも小さいけど、より詳細に、兎らしくなっている雪うさぎだ。クロも上手いけど、京子ちゃんのはレベルが何か違う、凄い上手いし可愛い。
雪うさぎを見つめる綾乃ちゃんの眼が、かなりキラキラしている。何かこう、凄い解りやすくて、何とも少しむず痒くなる二人だ。
「よ~し、持って帰ってまりちゃんにまりちゃんに上げよう!」
「!…」
 綾乃ちゃんが、分り易すぎるくらいに、あからさまにがっかりした後、しょんぼりしている。ここは一肌脱ぐか。
「あら可愛い。でも京子ちゃん、富山まで持って帰ったら多分溶けちゃいますよ?この場で誰かに上げちゃった方が良いんじゃないですか?」
 瞳子さんが先に動いた。さすがだ、追いついて直ぐに綾乃ちゃんの様子と京子ちゃんの言葉で、瞬時に状況を理解したらしい。
「おお、そうだなあ…。綾乃~雪うさぎ欲しい?」
 京子ちゃんはちらっと綾乃ちゃんを見て、雪うさぎを両手で差し出す。京子ちゃん、解っててやっているんじゃないだろうか。
「!べ、別に欲しくなんかないんだけど。ど、どうしてもって言うならもらってあげないこともないんだから!」
「えへへ~」
 もうこっちが恥ずかしくなるぐらい、二人の世界を作ってくれちゃってる。
ああ、そうか京子ちゃんは単純に綾乃ちゃんが自分の事を好きでいてくれている、その事が嬉しくて、意識的にも無意識的にも、敢えて綾乃ちゃんが反応するような事をしているんだな。
周囲の人間の反応まである意味利用して。思っていたよりも、意外と奥が深い子なのかも知れない。
「瞳子さん、さすがのアシストです」
 私は納得して、瞳子さんの耳に囁いた。瞳子さんは少し懐かしそうにして、
「何だかね、綾乃ちゃんを見ていると昔の私を見ているようで」
「ああ、何となく解ります」
 瞳子さんの後ろの祐巳さんをちら見しながら、また納得気味に頷く。
先ほどの雑談でお二人が通っている学校の独自のシステムについては聞いた。
きっと色々な紆余曲折を経て、今の姉妹としての祐巳さんと瞳子さんがあるのだろう。
京子ちゃんと綾乃ちゃんは、その紆余曲折のまだ途中にいるのだ。きっと。
「そう言えばさあ、雪月花ってことばがあるじゃん?あれって何で雪と月と花何て、一緒には見れないものをひとまとめにしたんだろうねえ?」
「う~ん、何かその三つともある状態ではなくて別の意味も含んでいるんじゃない?」
 京子ちゃんの疑問に、祐巳さんが答える。
「それにさ、一緒には見れないとは限らないよ?ほらあそこ」
 祐巳さんはいつから気づいていたのだろう。祐巳さんの指さした方に、この白色に覆われた世界においても一際目立つ、白い花が咲いていた。
「おお~すげー綺麗!この花は何て言う花?」
 その花に近づいて、京子ちゃんが尋ねる。
「その花の名前はね、月下美人」
 祐巳さんがその名を告げた正にその瞬間に、僅かに出来た雲間から、たった今まで今夜の主役の座を雪に奪われていた黄金色の満月が、その光をただ月下美人に捧げるためと言わんばかりに、その姿を私たちの前に晒した。
一筋の光が月下美人を照らす。雪もまた静かにはなっても、止んでいない。ここ、この瞬間にのみ雪月花はその姿を私達の前に表した。

 儚くも美しき、艶やかなるかな哀しき人。快き楽しみの心と繊細なる心の下。儚き恋に身をやつす、その名は月下。

 これもまた誰の言葉だったか。月下美人の袂にもまた、双葉の葵が、まるで月の光を受けて舞う、蝶のように寄り添い揺れていた。
「綾那も雪うさぎいる~?」
 しばらくの間雪と戯れていた、クロが聞いてきた。
「要らない。その雪うさぎはここに置いていけ。明日辺りたんぽぽ園のみんなに作りに行ってあげれば良い」
「そうだね、そうする」
 クロはいつも通りの笑顔でそう答えて、雪うさぎを月下美人と月下の蝶、双葉の葵の袂に置いた。雪うさぎもまた月明かりに照らされる。
何だかみんなして、少し厳かな気持ちになり、無言でその姿に祈りを捧げてしまった。
いつかの誰かの言葉に詠われた、哀しき人の幸福を、この場にいる六人みんなと、双葉の葵の先にいるであろう、夕歩と順も一緒に、祈った。

「じゃあ、またいつかどこかで」
「京子ちゃん、綾乃ちゃん、またね~」
「クロちゃん今度は夏に来るよ~綾乃も一緒に」
「また勝手に決めて、もう歳納京子ったら。瞳子さん、ありがとうございました」
「綾乃ちゃん、素直さも時として大切よ?」
「綾那ちゃん、はやてちゃん、京子ちゃん、綾乃ちゃん、またいつかどこかでね」
 月は既に雲に隠れた。門を出て、みんな思い思いの言葉で今夜の、偶然の出会いへの別れを惜しんだ。

 みんなと別れて、暫く歩くと、不思議と見慣れた街並みと、聖なる日らしい賑わいと喧騒が戻ってきた。その時のクロの言葉こそが、この夜の出会いの全てを表している。
「何だか別世界にでも迷い込んでいたような気分だね~雪まで止んじゃったし、ここらへんはあまり積もってないよ。狸や狐ならぬ、花に化かされたのかな?私達」
 ああ、花に化かされるとは、それはまた私達の日常に何となくそぐうような、そぐわないような、何とも雅で華やかな響きだ。
私もまた、柄にも無くそう思う。
月下美人には一年に一度しか咲かないと言う言い伝えがあるらしい。
今日という日はきっと、クリスマス・イブであるということも含め、そう言う類の、珍しい、奇跡のような、おめでたい日なのだ。

部屋に戻り、電気をつけ、TVの電源をONにする。出掛ける時と変わらない笑顔で、気色の悪い女が待っている。
「続きやるの~?」
 クロが順のベッドの上から声をかけてくる。
「まあな、いつも通りだ」
「そうだね、いつも通りだね~」
 今日という出会いもまた、当たり前のように明日へと過ぎ去っていき、いつも通りの日常を過ごしながら、夕歩が元気になって当たり前の日常に戻ってくる日を、クロや順と一緒に私は待ちわびるのだ。



BGM

Especial Friend/A・S
雪に願いを/槇原敬之
月光/鬼束ちひろ
宇宙の花/島みやえい子/I've
蝶/ZABADAK
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リハビリ2

う~ん、30分ほどバレンタイン当日に間に合わなかった…(;´Д`)
百合団地シリーズ Vol.01(仮)
Vol.00(仮)と同じ二人で書いてみました( `・ω・´)

↓こっから百合話

   雨色の宮
              雨泉 洋悠

 私はこの日を待っていた。あの人に会ってから、初めて迎えるこの日。私達にとって、超重要な運命の分かれ道。

 今日は朝から、灰色の空が私達を見つめている。でも、空模様が余り良くない状況であっても、私にはそれほど関係無かった。
天の神の気まぐれに心を揺らされるほど、今日の私達は天の神を気にしていない。
今日の日付、2月14日。
この学び舎に集う子兎の群れの殆ど全てが、少なくとも今日だけは天の神ではなく、それぞれの地の神のみを心に留めている。
普段は真面目に本分を全うしているこの部屋の昼の住人達からも、今日に限っては落ち着き無さと、浮き足立つ心持ちを嫌でも感じ取れる。
私の斜め前に立つ、この部屋の導き手も、この空間に満ちる空気を感じ取っているようだ。
左に視線を向ければ、未だ灰色の空はその滴を落とすことなく持ち堪えている。
「今日は聖ウァレンティーヌス殉教の日。皆さんが一刻も早いホームルームの終わりを望んでいるのは私も理解しているので、今日はこれで終わりにしましょう」
 子兎達から感謝の思いを含んだ黄色い歓声が上がる。私達の導き手は歳が近いからか、とても話が分かる。私も心の中で静かに感謝した。

「陽子ちゃん、また明日ね。はいコレ」
「さよーならー、私も」
「陽子ちゃん、あげる」
「陽子さん…私からも…」
 教室を出て行こうとする私を、何人かの仲の良いクラスメイトが笑顔で送り出してくれる。それぞれ可愛らしい包みをくれたので、もちろん私も笑顔でお返しを渡す。
「ありがとうみんな。また明日」
 彼女達もまた意中の相手との逢瀬が待っているのだろう。その背中を押したい、応援したい気持ちでいっぱいだ。
先ほどもらった包みを確認しつつ、鞄に入れつつ足早にいつもの場所に向かう。
一つ妙に目立つ包みがあった。あの娘は手先がとても器用だから、似たような包みでも見栄えが多少違う。私好みの色使いで、私は少し嬉しくなった。
道すがらでも、顔見知りの子達から幾つか受け取った。その都度多めに用意しておいたお返しを渡す。
みんな私にも用意してくれるなんてとてもありがたい。みんなの意中の相手との幸せを心から祈っておいた。

 いつもの中央ホールに辿り着くと、まだ月乃さんは来ていなかった。月乃さんのピアノも今日は閉じられている。
何人かの生徒がいて、可愛らしい包みの受け渡しをしている。ついでに私にくれる子も何人かいた。上級生もいたような気がする。お返しを渡しつつ、何とも恐れ多かったり、ありがたい気分になったりした。
ピアノの後ろにある十字架に切り取られた空は、まだ灰色の空。堪えきれなくなったようで、十字架は徐々に滴に濡らされて来ていた。
 何となく、校内を月乃さんを探して歩いてみることにした。

 中央ホールを最上階の中心とした中央棟内で、月乃さんがいそうな所と言えば…音楽室・図書室・美術室辺りかな…。
考えながら階段を降りる。まずは音楽室だ。

「月乃~?今日はこっちには来てないよ。空振りだね」
 月乃さんはたまに合唱部の伴奏を頼まれたりしている。学校のオーケストラにも所属しているので、本命だったのだけど合唱部の部長さんの言う通り、空振りだった。

「月乃さんなら今日は来てないですよ」
 美術室も空振り、美術部には月乃さんのお友達が多い。この副部長さんもそうだ。

「今日は本は借りに来てないわ、まだ教室にいるかもよ。私が出る時は少なくともまだいたわ」
 月乃さんのクラスの図書委員の方だ。その言葉に従って、私達の棟とは中央棟を挟んで反対の、上級生の教室がある棟に向かう。

「音無さんならちょっと前に教室を出たわよ。どこに行くかは聞いてないわねえ…ごめんなさいね」
 月乃さんのお友達の方だ。結構仲が良いみたいだけど今日の行方は知らないみたい。
 その後、中央棟も上級生棟を一通り回ってみたものの、私の包みが可愛らしい包みと交換されるばかりで、交換出来なくなった後は増えていくばかりだった。来月は全員にお返しを考えないと。
私の大荷物に見兼ねたのか、手芸部の知り合いの女の子が可愛らしい手提げ袋もくれたのでそれに丁寧に詰め込んで持ち歩いた。
手提げ袋のお礼も考えておこう。
窓の外を見ると、弱めではあるものの、先程よりは滴の勢いが増しているような気がした。私はふと、HRの最後に先生が言っていたことを思い出した。
聖ウァレンティーヌス…月乃さんの事だからもしかしてあそこにいるのかも。
今回は空振りではなく安打を打てるような気がした、もしくは本塁打。

 その場所は中央棟後方の中庭にある。白い十字架を戴いた純白の結晶。外壁だけでなく、扉も内装も白に包まれた、白色の聖なる宮。
そこの主もまた、あの場所と同じくあの人なのだ。

 私は差していた青色の傘を扉の脇の傘立てに置くと、静かに扉を開けた。漏れ聞こえてきた音によって、そこに私の意中の相手がいることが私には解った。
今回は空振り三振とはならず、見事に本塁打を打つことが出来たのだ。
その空間は、前方左側に据え付けられたパイプオルガンから奏でられる響きに満ちていた。
この曲は前にも月乃さんに聴かせてもらったことがある。
音楽の父が作曲したという、名も無き音楽。音楽の父が残した数多くの曲の中でも、この曲が一番好きだと月乃さんは教えてくれた。
「名前もないのに、どう聴いても神か聖なる人々に捧げられたとしか思えない曲だから」
 そう言って、月乃さんはいつもの笑顔を見せてくれたのを覚えている。
また少し強くなった、ステンドグラスに打ち付ける素朴な雨音が、パイプオルガンの荘厳な音と重なりあう。
月乃さんと音と、雨の音の共演。
私は足音をなるべく立てないようにして、一番前の席へ向かう。今日は私の音の出番はないのだ。
お祈りを捧げた後、静かに腰掛け、視線は真剣な月乃さんに向ける。月乃さんの音と姿と、雨の音のみに心を傾ける。
健の上をしなやかに跳びまわる月乃さんの指は、いつもとても綺麗だ。いつものように音に合わせて動かされる白い足も、とても麗しく動く。
少し固めの表情も、笑顔を絶やさないいつもの月乃さんとは、また違って魅力的だ。
ここで生まれ出る音は、ピアノの時の月乃さんの音と、少しだけ違う。ピアノの時は大体優しさが前面に出ている月乃さんの音だけど、今日はパイプオルガンのせいもあるけど、とても凛々しい。

 私が聴き始めてから、5回ほど弾き終わると、月乃さんは満足したのか演奏を止めて、大きく息を吐き、猫みたいに伸びをした。
「う~ん、満足」
 私は立ち上がって、この宮の弾き手である月乃さんに対して拍手を贈った。
「ありがとう、陽子。でも来るの遅ーい、私と雨の音、半分ぐらいしか聴いてなかったでしょ」
 月乃さんは私の方に近づいてきながら、ちょっと怒った風にそう言った。半分ぐらいという事は、10回は同じ曲を演奏していたということだ。
月乃さんとしては今日この場であの曲を10回は演奏しないと満足できなかった訳だ。
「ごめんなさい。でも、学校中を月乃さんを探して走り廻っていたんですよ」
 月乃さんが私のスカートと足を乗り越えて、隣に座る。
「でもねえ、今日は聖ウァレンティーヌスの殉教の日何だから、私がここで待っていることぐらいピンと来てくれないと」
 そう言いながら、鞄の中からいつものように鼈甲の串を取り出して私の髪を梳かしはじめる。
「そうですね、以後気をつけます。月乃さんこれどうぞ」
 私は髪を梳かしてくれている月乃さんの邪魔をしないようにしつつ、手提げ袋から今日一番の手土産を取り出す。
「わ、ありがとう。遅れたことは赦しましょう。私もちゃんと陽子の為に用意してあるよ、もちろん手作り!」
 私の髪を梳かすのを少しだけ中断して、自分の手提げ袋から小さな可愛らしい亜麻色の包みを取り出した。
「あ、外側から既に可愛い」
 あまりの可愛さに私の感情回路が反応した。月乃さんの笑顔がいつも以上に可愛く見えた。
「でしょう、陽子には和が似合うから今回も和の雰囲気にしてみました」
 何だかお店で買ったものしか渡せない自分が申し訳ない。
「ごめんなさい月乃さん。私のは手作りじゃないんです。お母さんのお知り合いの方がやっている大好きなお店の一番私が好きなやつなんです。不器用なので手作りとか自分でラッピングするのとか苦手で」
 自分で言ってて恥ずかしくなって、顔が紅くなっていくのが解る。そのまま俯き加減になってしまう。
「陽子が好きなやつなら何の問題もないよ~気にしなくていいって。あ、じゃあ来年は一緒に手作りしようか? その陽子の好きなお店にも一緒に行ってみたいし~」
 そう言って、月乃さんは私の両手に挟まれて、スカートの膝の上に乗せられていたものと、自分の亜麻色の包みを交換した。
「綺麗なオペラ色、洋の雰囲気だね。私も家で食べるから陽子も家に帰ってから開けてね」
 そう言いながら、私のものを自分で編んだという、手提げ袋に入れた。
「しかし、陽子も沢山もらったね…。その手提げ袋も何、貰い物?」
 普段の表情に戻って、私の右側の手提げ袋を覗き込む。手は再び私の髪に伸ばされている。
「そうです、貰い物です。友達が大荷物を持った私を見兼ねたのかと」
 言いながら月乃さんのものを手提げ袋に入れようとすると、
「そんな訳無い…それ…だし」
 小声で月乃さんが何か呟いた気がして、
「え?」
 思わず聞き返した。
「あ、私のは陽子の鞄に入れてね」
 そう言うと、私の髪をまた梳かし始めた。
良く聞き取れないままだったけど、ひとまず月乃さんのものを鞄に入れた。
「陽子、三つ編みにしてみようか取り敢えず左側に一本だけ」
 言い終わらないうちに、手早く編み始める。私の答えはもちろんイエスなので返答は不要だ。でも、
「はい、月乃さんのお望みのままに」
 そう答えておいた。

 この白の宮に響く音が、いつの間にか月乃さんの音と雨の音から、私の音と月乃さんの音に替わっていた。

 しばらくして、外に出ると、まだちょっとだけ小さな滴が落ち続けていた。
「陽子、傘無いから入れて~」
 私の青色の傘に月乃さんが私の左側に入り込んでくる。月乃さんの勢いで、私の三つ編みと、その先に結ばれた水色の蝶が揺れる。
私の髪を編み終わった後、月乃さんが自分が身に付けていたリボンを外して結んでくれた。
「今日は三つ編みとリボンまで、ありがとうございます」
「いやいや~良いよ。陽子の髪は綺麗だから何色でも似合う」
 月乃さんがそういうので私も、
「月乃さんの髪だって凄い綺麗ですよ、今日もらったやつと同じ亜麻色」
 そう言ってみたら、
「え、あ、そう、あ、ありがと…」
 珍しく、あたふたして、ちょっと紅くなって俯いていた。いつもとちょっと違う感じでとても愛らしいのだけど、おかげで何だかクロス歩道橋の分かれ道まで無言になってしまった。いつもとそう変わらないやり取りなんだけど、何でか今日に限っては妙に照れくさい。私までまた月乃さんと同じ顔色になってしまった。昇降口で、私も月乃さんもまた戴き物がしこたま増えた。
タイミングが良いのか悪いのか、分かれ道の所で雨は無事に上がった。
この時期にしては珍しく、雨上がりに直ぐ晴れ間が見え始めている。空の色は既に青から藍に変化している。
「雨、上がっちゃったね。ありがとう、陽子」
 月乃さんは、いつもの調子に戻って私の好きな、いつもの笑顔を向けてくれた。
「じゃあね、また明日」
「はい、また明日です」
 いつものように、その後ろ姿が見えなくなるまで見送った。
空にはもう、灯が点り始める。明日は良い天気になりそうな気がする。

 家に帰って、月乃さんのものを開けてみると茶色い粉の付いた、丸っこいものがいくつも入っていた。
こういうのも作れちゃうし、本当に月乃さんは器用で何でも出来る人なんだな。
器用、で手提げ袋を思い出す。何をお返ししたら良いか、今度月乃さんに相談してみようかな。
そんな取り留めのない思考を巡らせながら、今宵の月を想いながら、聖ウァレンティーヌスの殉教の日の夜、私にとって超重要な日の夜は幸福に更けていった。

                  終

BGM
灰色の空/Earth Well
うさぎDASH/→Pia-no-jaC←
J・S・バッハ/小フーガ ト短調 BWV 578
亜麻色の髪の乙女/ドビュッシー
             ヴィレッジ・シンガーズ
             島谷ひとみ
雨上がり/Earth Well

御府内八十八ヶ所霊場

土曜日にはこれ巡ってました。

御府内八十八ヶ所霊場
http://www.tesshow.jp/funai88_index.shtml

今回は10ヶ所ぐらい。
前職場の皆様と一緒に一年ぐらい前から廻りはじめて後20ヶ所ぐらいかな?
高野山の別院が都内にあるのは意外と知られていないので、
高野山東京別院は結構オススメかも。
もちろん本物の高野山の方は一生のうちに一度は言っておいたほうが良いと思いますが。
都内には出雲大社も確かありますね。
まだ行ってないですが、本物の出雲大社の方は60年に一度の本殿公開の時に行きました。
お寺はその前から好きだったけど意識して巡るようになったのはそこが始まりですね~。

写真とか詳しい日記とかは後でまた上げようかな~と。
今日はバレンタインなのでそろそろ続きとか他の話も上げたいなと思うのです( `・ω・´)

渋谷へGO

今日はお仕事の関係で渋谷に行っておりました。
自社近くの教会の十字架に雨の中カラスがとまっていたのが印象的でした。
この教会に限らず多くの教会で十字架にとまるカラスを見ます。
その様子は不思議と違和感なく教会の様子にいつも溶けこんでいます。
帰りに本屋に寄って、
たまたまお試しで全巻立ち読みできた「インセクト」を立ち読み。
パニックものは映画もアニメもマンガも面白いですなあ| ´ω`|
明日もきっと雨。
灰色の空を見ながら何か書こうかなと。

リハビリ

久々に、百合話を書いてみました。
興味の無い方はスルーでよろしくお願いします・・・| ´ω`|
今月は百合話に限らず、2次創作もオリジナルも色々書いていきたいなと。
目標は1ヶ月に短編10本!U>ω<)ノ(マテ

↓百合話ココから

   無音の接続詩
              雨泉 洋悠

 -4分33秒

 私は月を見ていた。
今日の月は満月。教室の窓側の一番前の席にある、私の席からは窓の向こうの月が良く見える。
さっきまでは、まだ夕陽の持つオレンジ色と、青から藍へ変わろうとする空の中にあって、朧気な白い光を纏っていた月。
今は一面の黒の中に疎らに散る無数の光の中でも、一番の輝きをもたらす金の光を放っている。

-4分00秒

私は、ただ無表情に私を見つめ返すだけの月から、気まぐれに目を逸らす。
教室の中央にある、無為に一つの音を奏で続ける真円に向き合う。
二つの針は、重なり合って私の方に向いていた。
帰ろう。
私は心の中だけで呟いて、席を立った。
数度、乾いた音を教室に響かせた後、一度だけ、夜の支配者に向き直る。
黄金の姫君は、何も語らずに、ただ静かに佇む。

 -2分00秒

 規則正しく並ぶ光の中を、乾いた音のみを響かせて進む。一つ歩を進める毎に、光と影は歪に乱れる。私の前に生きるものの姿は無く、私の後ろにもまた、生きるものの姿は無い。
音を放つものもまた、前にも後ろにも他になく、ただここにいる私一人。
昼間であれば、学校内で一番陽当たりの良い中央ホールに近づく。そこに行けば今宵を支配する姫君もより大きさを増すかも知れない。
もちろん、今も視線を少し右に移すなら、姫君はそこに居る訳だけど。

 -0分13秒

 姫君のもたらす光の勢いが、僅かながら弱まった気がした。

 -0分06秒

 中央ホールへの、最後の一歩二歩の音が響くか響かないかの刹那、微かな衣擦れの音と、静かな深呼吸の音を聞いた。

 0分00秒

 中央ホールに足を踏み入れ、視線を右に移した瞬間、常設されているピアノが、その黒と白の鍵をあらわにした。
再び、微かな衣擦れの音と呼吸の音を聞いた。

 0分06秒

 微かになっていた姫君の光が、その強さを再び増した。

 0分13秒

 ピアノの前に座る何者かの姿が、徐々に姫君の光に照らされていく。十字架に刻まれて射し込む姫君の光に照らされて、その腰まで伸びた金の髪が輝く。
その瞬間、今宵を支配していた姫君は、哀れにもその地位を奪われた。
従者となった月光を従えて、その人は静かに瞼を閉じていた。重ねられた両手は、制服のスカートの上に静かに置かれていた。その横顔は、まるで西洋人形のようでいて、しかし確かな生命の暖かみを備えていた。
私は、自らの素直で本能的な欲求に突き動かされ、姫君の元へと歩を進めた。
 先程よりも控えめな靴音と、スカートのプリーツが擦れ合う衣擦れの音と共に、私は少しずつ、その静寂の姫君が支配する空間に忍び入った。

 2分00秒

 姫君は、ただただ静寂の中にいた。
私が後数歩でピアノの横に立てる位置まで来ても、構うことなく自らの内面に広がっているのであろう、無音空間に浸っていた。
既に私の存在には気付いているだろうと思う。
今この空間に流れる音は、互いの僅かな呼吸音だけ。
私は彼女の生命の音を感じながら、その月光に照らされた横顔と、近付くことで良く見えるようになった、その細くてしなやかな色素の薄い手の甲と、制服のスカートの裾から覗く、こちらもまた細さと色の白さを月光によって強調された、ふくらはぎの辺りを交互に見つめ続けた。

 4分33秒

 どれだけの時間をそうしていたのだろう。
永遠に続くように感じられたその至福の時間にも、終わりの時は訪れる。
姫君は瞼を閉じたまま、鍵盤を再びの暗闇に戻すと、こちらを向いて瞼を開いた。
「どうでしたか?」
 笑顔で彼女は私にそう尋ねた。初めて見る彼女の瞳の色は、どこまでも深い、静けさを湛えた碧色だった。
「とても、素敵でした」
 私は素直にそう答えてしまった。何か演奏を聴いた訳でもないのに。
 私は間違えた、と思ったものの。
「そうですね、素敵でした。月の音と、私の音と、そして貴女の音。今日はとても良い演奏が出来ました」
 と、笑顔のままで彼女が言ったので、私の返答は間違っていなかったようだ。
「今の演奏ではピアノは弾いてなかったみたいですけど…どういう曲ですか?」
 私は一番疑問に感じたことを素直に聞いてみた。
「今の曲は『4分33秒』ジョン・ケージ作曲です。楽譜は無音。この空間に響いた全ての音、この空間全てがこの曲の演奏なんです」
 そんな曲もあるんだな、と私は思った。そして、この人になんて似合っている曲だろうと思った。
この演奏をしている時の、この人の全て、この人を取り巻く全てが音楽になっている。
「私は、音無月乃。音が無いって書いて、月に乃木大将の乃。見た目はこんなでハーフだけど日本生まれの日本育ち。貴女のお名前、聞かせて頂いても良いかしら?」
 彼女の自己紹介を聞き、私は納得する。
「私は、月島陽子です。月の島に、太陽の陽に子供の子です。私も日本生まれの日本育ち、純粋な日本人です」
 私は彼女の自己紹介を受けて、そう答えた。
「それは見れば解るよ~綺麗な長い黒髪に、吸い込まれるような黒色の瞳。どこから見ても和の雰囲気が素敵だね。二人とも月の字が入ってるなんて奇遇だね~」
 そんな風に褒めてもらった。ちょっと照れて、私は思わず右手で頭を掻いた。
「よろしくね、陽子」
 そう言って、月乃さんが差し出した左手に、私も左手で握手した。
「よろしく、月乃さん」
 思わずさん付けにしたら、やっぱり突っ込まれた。
「さんは要らないよ~」
「いや、さん付けの方が慣れてるので。私の事は呼び捨てで大丈夫です」
 思わずそんな言い訳をした。どうにもさんを付けないで呼ぶことに抵抗があったのだ。
「そっか、了解。陽子がそれが良いならそれで行こう。取り敢えず、もう遅いし帰ろう」
 月乃さんは、そう言ってペンダントにしているピアノの鍵で鍵をかけ、脇に置いていた自分の鞄を持って、私の左手を引いて歩き出した。
月光は、少しその勢いを弱め、私達二人を静かに照らしていた。

 ∞分∞秒

 昇降口では、月乃さんが三年生である事が解った。私は二年生、さん付けで正解だった訳だ。
校門の警備員さんの所で、ちょっとだけ事情を聞かれた。二人とも微妙に違うけど、適当に部活が長引いたと伝えておいた。
学校と、私達の住む団地との間のクロス歩道橋に差し掛かる。
「陽子は何号棟?私は4号棟、ちなみに、実を言うとこないだ引っ越してきたばかりの転校生です」
 クロス歩道橋の中央、街頭の灯りに月乃さんの笑顔が映える。私は多少ボーッと見蕩れながら、答える。
「33号棟です」
「じゃあ、左だね。私は右。おお~、また奇遇だね。4号棟と33号棟、二人で4分33秒!」
 そう言って、月乃さんはクロス歩道橋の真ん中でクルクル廻った。
フワフワと跳ね回る金色の長い髪が街灯の光に照らされてキラキラと輝いていた。
街頭の更に上には、今夜の主役を月乃さんに奪われた満月。私は思わず、
「月が綺麗ですね」
 と、月乃さんを見つめながら呟いた。ピタッと、月乃さんが止まり、マジマジと私を見つめる。瞬間、私の方に走ってきて、顔と顔を近づけて囁く。
「本気にしちゃうよ?」
 そう言って、ニイーッと今日一番の満面の笑みを浮かべると、反転翻って右の通路へ走り出す。
「じゃあね~また明日」
 言いながら手を振る姿が、通路を走りぬけ階段を降り、闇の中を4号棟の方に消えていった。
 私はその場にへたり込み呟いた。
「…キス、されるかと思った」
 今夜の主役の月は消えて、主役を奪われた月だけが残った。
ただ光をもたらすだけになったその月は、月乃さんには適わないまでも、やはり綺麗だなと思った。

 ただ、その時には私は月乃さんの言葉の意味を良く解っていなかった。私が無意識に漏らした言葉が、その言葉通りではない特別な意味を含んでいる言葉だと言うことを知るのは、もう少し後の事だった。

                  終

BGM
4分33秒/ジョン・ケージ

秘密結社と団地、そして栄光のセントアンドリュース(?

フォトに1月27日に芝公園周辺を散策した時の写真と、
1月28日に行った団地イベントの写真を載せました。

芝公園周辺は面白いですよ~。
第一目的は日本聖公会の中心地の聖アンデレ教会&聖オルバン教会。
ついでにそこの正面にあるフリーメイソンのロッジを第二目的に、
芝公園駅から歩いて来ました。

芝公園は前の職場で、久々に降り立ってみたのですが基本なにも変わってなかったですw
アンデレ&オルバンは芝公園駅の私が降りた出口からはちょっと遠いので、
ついでに周辺の行きつけだった神社や行ったことのない神社、お寺などを巡って来ました。
増上寺と東京タワーは今回は対象外でその周辺がメインです。

秘密結社と言えばフリーメイソン。
結構多くの人が誤解しているような気がするのですが、
フリーメイソンは少なくとも表向きは会員同士の親睦を目的とした友愛団体です。
ちゃんと公式HPもありますよ。
確かそれなりの地位と、会員3人の推薦があって、男性であれば入会できたはずです。
まあ、裏で何やってるかわからないのはフリーメイソンに限らず、
多くの会社や団体で同じ事。
フリーメイソンばかりすべての陰謀の黒幕の様に語るのはちょっとナンセンスな気がしますね。
特に日本の場合は、神道系や仏教系の秘密結社の方がよほど国の根管に影響を与えていると思います。
フリーメイソンみたいに名前が知られていないのもより一層怪しい匂いを感じさせますw

聖公会は秘密結社でもなんでもないですが、
縁のない人には良く解らないと思うのでちょっと捕捉を。
これは大雑把に言えばいわゆる、イングランド国教会の事です。
ヘルシング機関が所属している側ですねw
アンデレ教会のアンデレって言うのは聖人の名前。
タイトルに出したセントアンドリュースの名前もこの聖人から来ています。
ゴルフの聖地ですからゴルフ好きなら全英オープンの舞台として記憶していると思います。
オルバンも聖人の名前です。
教会的にはオルバン教会の方が木造で、パイプオルガンが素敵だったので好みですね~。

で、次の日には団地イベント行って来ました。
松原団地駅という団地の名を冠した駅にある獨協大学にて総裁達団地団の講演会が開催されました。
内容的には団地団の総括って感じでした。
その後の懇親会が楽しかったです。
無料な上に豪華な料理を出せるなんて大学は良いなあ(;´Д`)(笑)
写真的には時間的に遅かったので真っ暗気味なのが心残り。
とは言え見学に行かなければならない団地は他にも一杯あるのでまた行くのはもう少し先ですな~。
近いうちに平塚市内の私の子供の頃の想い出が詰まった団地を去年久しぶりに訪問した時の写真でも載せようかと思います。

今日はこれにて。

私の女子力は53万です|  ̄ー ̄)ニヤリ(違

何だかふと思い浮かんだフレーズをタイトルにしてしまいました(笑)
多分本物の女子力高い女子はスーパーサイヤ人。
状況と努力によって4まで段階的に成長していきますw

ふと思い浮かんだだけでフレーズ自体にあんまり意味はないのですが、
関連付けて日記書きます。

取り敢えず2月1日から今までの職場から離れました。
会社は変わるけど無職というわけではないです。
ひとまず暫くは休憩と言うことで休みを頂いていますが今月末からは多分普通の社会人生活に戻る感じで。

今日は読書&休憩の日でした。
BGMは「→Pia-no-jaC←」。
「→Pia-no-jaC←」って自分的には曲調がリチャード・クレイダーマンの雰囲気。
「DAISHI DANCE」ともコラボしてたりするし大好きなお二人です。
カホンいいよカホン( ・∀・)

こないだピンドラのイベントの時に書いたのですが、
私は男なのですが女子力の高いものが、
結構スタイルでもネタでも何でもなく本気で好きです。
まあ自分で着たいとか身につけたいとかでなく、
着てもらいたい着けてもらいたいと思う方です。
見てるだけでも結構満足です。
なのでゲイでもオカマでもましてや男の娘でもありません(笑)
BLには全く抵抗ないけどリアルで自分が男性を好きになるとか、
マジありえないって思います(;・∀・)(苦笑)
多分今から女の子に生まれ変われますと言われても好きになるのは女の子でしょうw
なので私の外見を男の娘で想像したりしないで下さいw←みんなそんな事しません
リアル知り合いの皆様やポケミクの皆様は、
私に会ったことある方ばかりなので知っていますよね?
私は見た目も中身も普通に30越えたおっさんです|  ̄ロ ̄)(苦笑)

お釈迦様で女子力高い男子と言えばアリスですが、
彼の場合は男が好きですよね。
本命は柏木さんぽいですよね、個人的には祐麒を結構本気で気に入ってるんだろうなとも思いますが。
自分としてはBL的には正直アリスは美味しくないキャラです。
お釈迦様でBLと言ったら柏木さんと祐麒が至高。
柏木さんが本気でさえなければ深い絆で結ばれた二人で終わっていたかもしれないのに、
でも柏木さんは本気なのでたまに我慢できず地が出る(笑)
「遠の眠の」は地の柏木さん本領発揮で有る意味怖かった・・・(((( ;゚д゚)))
「スクール フェスティバルズ」で、マリみて無印の時の柏木さんにも祥子さまと同様深い苦しみと葛藤があって、
それを支えたのは祐麒だったと言うのはもの凄く萌えました、萌えって表現あんまり好きじゃないけどこれ以外で表現できないようなこの感覚って感じです。
柏木さんが祥子さまとまたこじれた後に、
生徒会室に戻って祐麒がいた時はキター!と思いましたし、
その後の描写にももちろんグッと来ましたw
私はマリみて無印の柏木さんを見た時から真面目にこの人は高いレベルで格好良い!と思っているので、
正直祥子さまの旦那様になれる人なんてこの人しかいないだろうと確信しています。
祐麒は多分瞳子ちゃんか由乃さんが相手でしょう。
それ以外の相手はあんまり想像できない・・・。
しかし、お釈迦様で突如色男になってしまった小林くんの扱いはどうなるのでしょう・・・。
マリみての続きやお釈迦様が今後映像化されないとは言えないので、
OVAで出た微妙な普通の小林くんの扱いがどうなるのか・・・。
お釈迦様の色男小林くんに統一して頂きたいですが既に微妙な方の小林くんどうするのか・・・。

取り留めのない話になりましたが、
2月最初の、リスタート記念日記はコレにて終了ということで|・ω・)ゝ”
見返すとリスタート記念にしてはひどい内容だ(;´Д`)(苦笑)
プロフィール

雨泉洋悠

Author:雨泉洋悠
この世は光に満ちています。

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